まず最初に歯医者ですので、患者さんの痛みや苦痛をとるのが大原則です。その後、予防的なことを含めましていろんなお話をするわけです。
そして、治療、食養の第一段階として、三種類の食べ物の制限をお話します。この時点では玄米の話はいっさいしません。歯医者で話をして不自然でないもので、まず第一に砂糖の制限の話。
砂糖はカルシウム代謝に負担を与えたり、ビタミンをかなり消耗します。食養的に言えば極陰性で体を緩めてしまう。悪い面を探せばきりがない程あるわけですから、そのことを分かっていただきます。
患者さんも歯医者に来て、砂糖のことを改めて言われると、仕方ないなという気持ちでうなずいてくれるわけですが、これがとても大事なところです。
砂糖のことでのうなずきに乗じて、第二番目はお肉の話をします。砂糖は陰性と酸性食品代表ですが、陽性の酸性食品代表選手はやはり肉ということになります。
お肉に関しては、一般の方はあまり危機感を持っておられないどころか逆に一所懸命食べておられますから、このお肉の話がちょっと難しいのです。
あまり観念的ではなく、例えば腸内細菌のバランスを崩すとか、酸性がとても強いとか、あるいは現在の畜産業が非常に厳しい状況で、人工肥料や大量の薬を使用している話なんかをして、「お肉はむしろ少ない方がいいんですよ。」とか「牛乳もたくさん飲む必要はないですよ」というような話をします。
三番目は油の制限の話です。現代生活のなかでとりすぎているものの一つが油だと思います。
油自体は、そう目くじらをたてる程ではないんですが、酸化した油は危ないと言ってもいいです。患者さんの同感を呼ぶジェスチャーとして、少しおなかの肉をつまみながら話をするといいです。
30歳以上の方のおなかは、たいがい二段腹、三段といった調子で、たいてい緩んでおられますから、「油をとりすぎると、この脂肪細胞が体にたくさんたまっていろいろ悪いことをしてしまうよ!」というふうに油の話を伝えます。
このようにしてお砂糖の勢いを借りて、実はお肉と油の話をしてしまうと言ったほうが正解ですが、この三つの食品の制限が大切です。
大事なのは、やはりできるだけ敷居を低くするということですね。第一歩を踏み出していただかないと全く意味がありませんから。実はこの三つだけでも努力するとすごい効果があると思うんです。
そしてもう一つ最初の段階でお話しなければならないのは咀嚼です。噛むことです。一口100回は理想としまして、噛むということは何にもかえ難いすばらしい効果があります。
まず唾液の分泌がさかんになります。唾液に含まれる消化酵素、アミラーゼが消化を助けます。それに殺菌作用があり、抗がん作用もあると言われています。
また人工の添加物などの化学物質を分解したり中和する働きもあります。あるいは口の中のペーハーをちょうど良い状態にする緩衝作用働きもあります。さらに唾液の中にバロチンという物質が含まれていて、発見当時その働きからいって若返りのホルモンではないかと、かなり話題になった物質で、科学的にはホルモンとしての認定は否定されましたが、そういう素晴らしい物質も出てきます。
唾液は完全なオーダーメイドで、当然何の副作用もありません。また咀嚼を一所懸命することで、顎を含めて血行が促進されます。
頭に対して顎は血液のポンプと言われています。顎をよく動かすことで、脳内血液が増えるわけです。頭だけでなく、首、肩、全身の血液が増えるということが分かっています。よく噛むだけで、体が暖まり、体自体の活性が高まってくるわけです。さらに噛むことでダイエット効果もあると言われています。このように噛めば噛むほど元気になると言っていいと思います。
それでもこういう話を患者さんに伝えて、意識して下さる方は半分くらいです。あと半分は、実生活をほとんど変えることができない方がほとんどです。
歯医者でこういうことを話すのは、おせっかいと思われる方が多いのですが、そういう方に、食養の大事さを気づいていただくチャンスだと思いますし、それは私たちの責任だと思います。
100人に話して、何十人かは必ず喜んでくれたり、努力していただけます。そして、何人かは劇的な変化をされておられます。
玄米の話は、食べ物で体の変化に気づいて、関心のある状態になってから初めて、お話する価値があると思います。
そういう人は、必ず次はどうすればいいかといろいろと質問されますから、玄米の話や食品添加物の話や食べ物全般の話、陰陽の話へと深めていくことができます。
私自身の臨床感としては、無理に玄米をお勧めするよりも、胚芽米や五分づき米でもいいのではないかと思います。
また主食を菓子パンで済ませているような人にとっては、白米も悪くないんですよ。そのような人が白米を一所懸命食べるようになれば素晴らしい進歩ですし、また次の気づきで胚芽米、五分づき米、玄米と一歩ずつ上がっていけばいいのではないかと思います。
やはり食養というのは、画一的に勧めるには無理があって、相手に応じて強く言ったり、時には優しく言っていろんなヒントを提供させていくのがいいと考えております。
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