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レントゲンについて

 

 最近、電子レンジや携帯電話などで電磁波の影響について話題になることが多くなってきましたが、レントゲンも電磁波の一種であり、電離放射線といわれるエネルギーがとても高い電磁波です。

 

歯科用レントゲンにはどんなものがあるか?

 通常、主に使用される歯科用レントゲンには、次のようなものがあります。

1)デンタルレントゲン写真
  2cm×3cmくらい、歯が3〜5本くらい写ります。

デンタルレントゲン ■デンタルレントゲン

2)パノラマレントゲン写真
  15cm×30cmくらい、目の付近から下顎までの頭蓋骨の表面を一周、パノラマ上に写します。

パノラマレントゲン ■パノラマレントゲン

3)セファロレントゲン写真
  20cm×30cmくらい、歯科矯正診断用に撮るもので、頭蓋骨を側方から写します。

セファロレントゲン ■セファロレントゲン

 その他に顎の関節を写すものや、歯の萌出方向に写すもの、コンピュータを使ったものなどがありますが、ここでは前ページの写真のパノラマレントゲンを例にとって説明します。

 このレントゲンから読み取れることとして、

1)虫歯の大きさ、深さ、神経との距離
2)神経が死んで根の先に膿を持っている
3)歯肉の奥にたまっている歯石の量と状態
4)骨が溶けて歯周病が進行している。その量と、状態、傾向
5)根の治療の状態、そのよし悪し
6)金属と歯の合い具合
7)埋まってる歯(親知らずなど)の状態
8)鼻の奥の状態、鼻の通り具合
9)上顎の骨の厚さ、状態
10)顎関節の形、異常

 その他、書き上げていけばきりがありませんが、ガンや骨の異常などの診断を含め、優に百以上の膨大な情報がわかります。

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レントゲンの生体への影響

 医療用レントゲンで考えうるマイナス影響は

1)発癌のリスク(癌が発生しやすくなる)
2)遺伝的影響(精子、卵子、胎児に突然変為を起こす)

の二点が代表的なものです。

 これらに関してICRP(国際放射線防護委員会)勧告では、放射線被曝による有害な影響の発生確率を発表しています(表参照)。

■晩餐者「電磁波の恐怖」より

晩餐者「電磁波の恐怖」より

■臓器のリスク係数

臓器・組織 問題となる影響 リスク係数
(1シーベルト当たり)
1レム当たりのリスク 仮に歯科用レントゲンを
直接生殖腺などに向けて
照射した時のリスク
生殖腺 遺伝的影響 4×10−3 4/105 1.6/105 10万回撮影で
1.6回発症
赤色骨髄 白血病 2×10−3 2/105 0.8/105 10万回撮影で
0.8回発症
骨癌 5×10−4 5/106 2/106 100万回撮影で
2回発症
肺癌 2×10−3 2/105 0.8/105 10万回撮影で
0.8回発症
甲状腺 甲状腺癌 5×10−5 5/106 2/106 100万回撮影で
2回発症
乳房 乳癌 2.5×10−3 2.5/105 1/105 10万回撮影で
1回発症
他の全ての組織 5×10−3 5/105 2/105 10万回撮影で
2回発症
全身均等照射による放射線誘発癌に関する死亡のリスク
(平均値)
1×10−2 1/104 0.4/104 1万回撮影で
0.4回発症

*歯科用レントゲンは0.4レム相当

 これは各臓器に直接一定の放射線をあてたときの発症確率を示しているもので、具体的な影響の量を知る上で一つの参考になります。

 歯科用レントゲンは国際科学委員会報告では一回の平均値が0.4レム(中央平均値)に相当すると発表されているので、仮に歯科用レントゲンを直接肺とか生殖腺に向かって当てたと仮定した場合のリスクを表の右端に記載しました。
  実際には歯科用レントゲンは口の付近に限局しており、また防御用エプロンを使用することで胴体部への被曝はほとんどなくなるので、表のリスク値はあくまで無防備な体に直接レントゲンを照射した場合の想定値です。

 これらのリスク係数は確率的な不確定の値ですが、ここで一つだけはっきりしていることがあります。
  それは被曝量が増すにつれて、少しずつ影響の度合が増すということです。被曝は少なければ少ないほどよいのです。

 

具体的対策

1)レントゲン撮影に際し、鉛入りの防御エプロンをかけてくれるかどうかチェック。必ずかけてもらうようにしよう。
  歯科用レントゲンの場合、歯の周辺にレントゲンを受けるのは仕方ないが、エプロンをかけることで、体の他の部(生殖腺など)の被曝はほとんど防げる。
  防御エプロンの使用は、歯科に限らずそこの病院のレントゲンに対する考え方の表われである。

X線防御エプロン ■X線防御エプロン

2)以前は歯科用レントゲンを治療用イスの所で使用する機種があった。
  これでは他の患者も従業員も全員が被曝してしまう。レントゲン室で撮影してもらうようにしよう。

3)妊娠の可能性の高い女性は、まずできるだけ自分で妊娠の有無をチェックしておく。
  特に妊娠3〜10週が放射線感受性が強い。この時期は薬物感受性同様に最も高い時期なので、女性は要注意。
  妊娠がはっきりしている女性はもちろんのこと、妊娠がどうかはっきりしない状態の女性もこの旨医師に告げるのが、母になる者の責任だと思います。
4)内科や外科で断層撮影や放射線治療などで多量のレントゲンをすでに被曝している人はその旨医師へ告げる。

5)医師側がとるべき対策。
A.妊婦またはその可能性の高い女性に対する配慮
B.撮影量枚数を最小にする努力、その貴重な写真から最大の情報を得るための努力
C.良質のレントゲンフィルムを使用し、少ない被曝で鮮明な画像を得ようと努力する
D.鉛入り防御エプロンの使用

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レントゲンは拒否してよいのか

 レントゲンに対する不安や質問は大いに先生に聞いてみるとよいでしょう。要は何万分の一の発癌リスクか歯の治療の確実性をとるかの比較の問題です。「どうせ歯は命には関係ないや、ガンが何より恐い」という声が聞こえてきそうですが、そうとは言い切れません。歯はとても大切です。その人の人生や命に決定的な影響を与えます。

 まれに「私はレントゲンを撮らない主義だ」という人がいます。そんな人には、私もあまりお話しせずに適当に切り上げます。こちらが、できるだけの被曝対策をとり、より有意義な治療をしようと努力しているのに、頭から拒絶されては何もできないからです。質問することと拒絶することとは、全く違います。
  皆さん、ぜひ賢い患者さんになって下さい。

 

まとめ

●わからないこと心配なことは、素直に先生に聞きましょう。
●歯を悪くしてからあわてないよう、しっかり定期検診を受けましょう。

 

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